雲が、
ちぎれた血のように群れつながって、
遠く、ということがわからない、
白く泡立つ海、
胸の中の凧がいくつも汗ばみ、
空に染みが浮き上がる、
置いてきてしまった身体があかるく輝いて、
砕けて窓からあふれてゆく、
あれもこれもわたしではなく、
顔を失って泣いている、
くり返される日々の中で、
凧だったことが忘れられない、
もつれた白い糸の中に、
浮子がいくつもまわっている、
宙に萌える、
やわらかく赤い草原にもぐりながら、
だれの身体だったかわからなくなる、
この椅子に座って、
底のない床に足を下ろしてゆく、
眠り、
縫われている、
わたしは細かく割け、
愛という文字に触れていた、
身体のあちこちが鳥になって飛び去り、
また置いていかれる、
壁に刃を刺して、
だれかの息になって染み出していきたい、
あっち、という声がする、
崖の向こうに、
波打つ草の海が広がっているのだろうか、
両手にいくつも凧を抱え、
駆け抜けて、
叫んでいる、
つかのま、
電線たちが透きとおり、
真っ青に死ぬ、
どこかでわっと泣く声が響き、
息の列車に乗せられ、
わたしたちは運ばれてゆく、


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