光のちょうちょ

くもったガラスの向こうに、
燃え尽きる光、
歩道橋をくぐってゆく、
車たちの光のひとつひとつ、
あれはどっから来てどこに行くの、
切り立ったビルの壁が、
祈りみたいだと思った、
ここにあるあたしたちの、
さびしいくらいそのまんまの身体、
正しいことなんてひとつもなかった、
むかしは道にも川にも翼があったのかもって、
知らない人の声が聞こえる、
細い隙間からちょこっとむかしのことが見えて、
なにかわからないのにそれがとてもなつかしい、
ああ、
あそこに流れてる星、
たぶんあれは燃えてる、
すごく遠くで燃えてるんだ、
流れ星を見たとき、
だれでも出発のことを考えるんだと思う、
糸になって伸びる、
だれもいない場所で、
ただレモンのあかるい色が目の前に広がって、
ヨーグルトが発酵するみたいに、
しずかに増えていこう、
ひんやりした、
ねばねばした、
くしゃみみたいな爆発、
一瞬だけ高いところから飛び下りたみたいになる、
道のうえに火花が散ってる、
また車が通る音がして、
街は光のための生け贄のようだ、
夜の果てる場所で、
きっとたくさんの光のちょうちょが
羽を広げている、


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