the bridge to the blue sky

1
よかった、
ただそこにふくらんでいるだけで、
それはもうそれだけで、
埋め尽くされるように虹だった。
あちらによりかかることも、 しなだれることもなくて。

10
数字が回って通知が来た。
今そっちに行くよ。
釣り上げてみたら、
クジラだったんだ。
水平な瞳がまぶしくて、
世界が落っこちていくようだったよ。

18
もう
風車の夢は見ない、
青くてもろくてふやけきった
世界の果てのこと、
アルミニウムが匂う、
すべてがそのまぶたのうえで。

22
シャツと、
ジャムと、
太陽。
がらがら回ってたんです。
ずっと鉄塔が立って。
うつくしい鳥が鳴いて、
汚染されていくのを見ていました。

28
指がねばねばしてた。
あした、
ぬれたからだ、
しんだひとたちのねがえり、
路地のむこうで、
虹がいくつも飛び散って。

38
しずんでった、
ももいろの。
細胞のひとつひとつに
名前をつけた。
きょう、
一瞬だけ
かたつむりのツノのさきにふるえた。

39
どうやってやってきたんだろう、
ヨーグルトのふえてく感じ、
海いっぱいのくらげの眠り。
着信して。
しろいしろい
ふかふかのたましい。

40
デイジー、デイジー、
まっさらな、
縫い目のない空。
こころの外に抜けていった、
流し場に、
まっしろい死がひろがってました。

44
はじまりのはなびら。
今日も羽はまわって、
伝えてる。
こんにちわ、世界。
丘は風に吹かれて、
深海にウミユリがゆれて。
だれがだれとも会えなくても。

45
ひろかった。
プールにぷかぷか浮かんでた。
オレンジ、すいか、パイナップル、
あちこちにたくさん実っています。
遠いところ。
みんなで暮らして
鳥をながめた。

53
いっぱいに
光っているキノコたち。
ビルたちも、
給水塔も、
ひとつずつゆめを見ていた。
むかしむかし原っぱを
いっしょうけんめい走っていました。

64
かき出されていた、小さな
赤い赤いアルファベットだった。
毎日ゆっくりさよならしてる。
南の海のイルカたちにも。
そうして空は
おはよう、って言った。

66
方向なんて関係ないんだ。
追いつけないのが悲しかった。
窓の外で
ひばなみたいにぱちぱちして。
それがものすごくあおくて、きれいで、
尊くて。

73
電球のようにさびしくて、
あなたたちは人を殴った。
余ってたんだ、だから。
そうして土になにか落とした。
ずっとハナミズキが匂ってた。
だれもゆるすことなんてできないのに。

79
ブルー、ブルー、
影のゆれる、家だった。
雨はやわらかく木霊して、
洗面器に記憶が映って。
水のなか、
草たちが世界になってゆくとき。

80
砂漠で
電気仕掛けのカメに出会った。
それからずっと歩いています。
もう、ずいぶん長いね。
近ごろ火星はとても冷えます。
ローソンの灯が見えてきました。

91
その小さな星は思った、
宇宙にたったひとつの星になっても、
ずうっと待っていよう、って。
靄のなか、
きみどりいろの草原を
無人の列車がはしってた。

93
舟になっていきたいね。
心が流れていくような。
忘れない、
世界もわたしも影だったとしても。
ひとつずつここにしみこんだままでいい。
水草の枕がどこまでゆれて。
絶対だよ。

98
あたたかい、
どこもかしこもオレンジで、
日の光があふれてた。
世界はきょうで終わりましたと
ラジオが告げて。
だれのためでもない祈りのために、
わたしたちはいつも自転車を漕いで。

100
世界という名前の駅からはじまって、
世界という名前の駅でおわる、
そんな路線の列車に乗って、
きょうも
あおいあおい空だけがある


*オリジナルは1〜100の連作になっています。


↑ページトップへ / ←worksへ戻る